はじめに

前回に引き続き、「自閉症」についての説明です。

自閉症は「症候群」であり、自閉症スペクトラムにはいくつものタイプの違う、呼び名がある事を学びました。

今回は、自閉症の方を支援するにあたりどのようなスタンスを持つべきかを考える基礎となる勉強です。沢山学んで支援へ役立てましょう。

1.自閉症の人たちが上手く出来ない事

①抽象的な概念の理解が難しい。(物事の意味が理解できない)
②聴覚からの情報の処理がうまくできない。(音声・声掛け指示だけでは実行できない)
③沢山の情報を同時には、処理できない、混乱しやすい。(二つの事を同時に聞いて動けない)

2.自閉症の人を支援するために知っておかなければならない事

自閉症は症候群、「これが自閉症のステレオタイプ(典型)」という人はいません。自閉症スペクトラム、つまり、全ての自閉症の人に有効な教育や援助の決まった方法というものは無く、一人一人に合わせて支援を考える必要があります。

自閉症の原因は、「脳の器質的な、あるいは機能的な障がいである」という事です。得意な事、不得意な事が、本人の努力や態度、育ち方(育て方)などには関係なくそのような状態を示すという事です。

これまで、障がいが理由(脳の器質的・機能的な障がい)で「どうしても出来ない事や苦手な事」を、私たちは「がんばってやらせる」という間違いに走りがちでした。

普通の人になることを目標に、出来ない事を出来るように。そして、それを無意識のうちに、悪意無く行ってきた事でしょう。悪意が無いからと言って許されるものではありません。

自閉症は、情緒や感情に「障がい」はありません。そういう意味では自閉は二次「障がい」であるとも言えます。

基本障がいは、認知障がい(物事を理解したり、意味を理解するのに障がいがある)です。やる事が分かれば高い能力を発揮する方が多いので、まずやることを分からせてやることが重要です。

”できるか、分かるか、見通しがたつか。”

どのように働きかける(支援)か
どのような結果となる(観察)か
どのように伝える事で理解(見通し)したか

3.常に心がけるべき4つの基本姿勢

①静かに見守る:自分から行動を始めるまで静かに見守る事、口出しや手出しをしない。
②よく観察する事:何を考え、何をしているのか、よく観察をする事、出来てることと出来ない事を見極める。
③深く理解する事:観察し、感じた事から、何をすれば(変えれば)本人に伝わるかを考え、理解する。
④耳を傾ける事:言葉や、それ以外のサインに十分に耳を傾け、考える事。