発達性強調運動障害(DCD)をご存じですか?
極端な不器用、手と足と体を使った連続運動が苦手。

発達性強調運動障害(DCD)とはどんな状態なのか?
強調運動が苦手、「手と手」「手と目」「足と手」「足と目」などの二つの機能を同時に使用し行う運動(動作)が上手く出来ない事。

例えば、キャッチボールをする時、「目」でボールを見ながら「手」でキャッチする(※「目」と「手」を同時に使いながら行う動作を強調運動といいます)。同じように、「手と手」「手と目」「足と手」「足と目」の二つの機能を同時に使いながらの運動(動作)を指します。

  • 手と手」の場合
    ・消しゴムで上手く字が消せない
    ・定規やコンパスが上手く使えない
    ・靴ひもが結べない
    ・ボタンを掛けるのに時間がかかる
    ・玉結びが出来ない
  • 手と目」の場合
    ・はさみで切り取り線に沿って切れない
    ・毬つき遊びが出来ない
    ・黒板の文字をノートに写すのに時間がかかる
    ・縦笛がうまく吹けない
  • 足と手」の場合
    ・縄跳びがうまくできない
    ・スキップがうまくできない
    ・ドリブルしながら走れない
    ・ラジオ体操の飛びながら両手を広げることがリズムに合わせてできない
  • 足と目」の場合
    ・よく転ぶ
    ・片足でバランスが取れない
    ・階段の昇り降りがぎこちない
    ・止まっているボールをうまく蹴れない

小学校の1クラスに2~3人は見かけるとても不器用な子ども。

練習不足や運動不足、あるいは怠けているや過保護?などと思われていましたが、最近になって発達障害ひとつである「発達性強調運動障害(DCD=Developmenntal Coordination Disorder)]として知られるようになりました。

しかし、認知度は低くあまり知られておらず不器用で片付けられ、受診に至らない事から大人になっても極端な不器用さから自尊心を傷つけてしまう事が心配されています。また、生涯に渡り様々な困難さや大変さをお子さまが持ち続けることとなります。

このようなお子さんがいらっしゃるご両親は、「なぜあなたはこんなに不器用なの?」「もっと練習をしなさい!」とお子さんを責めてしまいがちですが、DCDの特性が見られないか冷静に分析してみてください。

まず、DCDの特性について知る

  • 乳児期 0才~1才
    ・ミルクの飲み込みが悪い、むせやすい
    ・寝返りがうまくできない
    ・ハイハイがぎこちない、うまくできない
    ・玩具をうまく使って一人で遊べない
  • 幼児期 1才~6才
    ・よく転ぶ、転んだ時に手がでない
    ・言葉がはっきりせず聞き取りにくい
    ・着替えがうまくできない、時間がかかる
    ・階段の昇り降りがぎこちない、手すりが無いとできない
    ・トイレで便を拭き取れない
    ・ボタンをかけれない
    ・靴ひもが結べない
    ・塗り絵が線から大きくはみ出してしまう
  • 学童期 6才~12才
    ・ノートのマス目からはみ出さず字が書けない
    ・はしがうまく使えない、ナイフとフォークで切り分けれない
    ・ブランコがこげない、遊具を使ってうまく遊べない、縄跳びができない
    ・ボール遊びが苦手、まりつきやドリブルができない
    ・消しゴムで字をうまく消せない、消しゴムや鉛筆でノートをやぶってしまう
    ・定規やコンパスなどの文房具をうまく使えない
    ・リコーダーがうまくできない、簡単なピアノ曲(ドレミ)が弾けない
    ・ラジオ体操がぎこちなく、音楽に合わせてできない

これらの様子が、12才までに見られた場合は、DCDの特性を持っていることが考えられます。大人になるに従い、自然に改善する事はありません。

但し、これらの特性が「いい」「悪い」ではなく、まずは特性として知り、本人の苦手意識や自尊心が傷つく前に適切な訓練(※1)を行うことで極端な不器用は軽減されていきます。

※1)訓練:作業療法士(OT: occupational therapist)による専門的な訓練

たとえ、自分のお子さまに上記のような特性が頻繁に見られたとしても必要以上に心配する必要はありません、近年、DCDの特性を持った子供の割合が増えている傾向にある事を知っておきましょう。

お母さんの心のゆとりが第一

まだこのようなお子さまとの経験が少ないお母さんの中には、「どうしてできないの?」「なんで怠けるの?」「ふざけてばかりいるのはなぜ?」と、お子さまの特性とは認識できず、一般のお子さまと比較してわが子を責めてしまうケースがあります。

お子さまを責めても、本人やお母さん自身が辛い思いをするだけで、決して改善の方向には向かいません。特性を理解し、受け入れ、見守り、必要な場面に応じてサポートしていく、お子さまを信じる心のゆとりが求められます。

そのために、周りの環境づくり、お母さんとご家族のための理解者との出会い、仲間づくり、心の支えとなるコミュニティーづくりが地域にも求められていると思います。精神論ではなく、科学的根拠に基づき、お子さまとお母さん、そのご家族を支援する専門機関が今後増えていくことを願います(※専門機関や専門支援についてはご相談に応じます)。

お子さまに寄り添うサポート

お子さまには、どのような時も明るく元気にのびのびと、今を楽しんでほしい。これからの人生を楽しく歩んでほしい。DCDという特性を持ったお子さまの運動能力は、一般のお子さまのように自然に伸びていくことが困難なため、私たち大人がサポートしながら、より良い生活ができるように介入して手助けし続けなければなりません。

ワークスタイルこすもは、「仕事」「働く」ことを通じて、一人ひとりの能力を最大限に引き出し、社会と強調してより良い人生を自律して歩めるように、様々な可能性を見つめています。障がいのある人も一緒に、生涯働ける環境づくりに、日々挑戦しています。